領収書フォルダをClaude Codeに読ませて一覧にする|税理士事務所で最初に試す10分の手順と、詰まる7つの場面

まず結論からお伝えすると、領収書フォルダの一覧表づくりは、Claude Code にプロンプトを1つ打つだけ・10分で終わります。難しいのは読み取りではなく、「迷ったときにどうさせるか」を先に決めておくことです。

ChatGPTやClaudeの名前は知っているけれど、忙しくて検証まで手が回っていない——そんな税理士の方に向けて、架空のサンプル証憑7枚(コンビニ・手書きタクシー・居酒屋・退色レシート・海外SaaS・ICカード履歴・PDF請求書)を実際に読ませた実行ログをもとに、手順と、必ず詰まる7つの場面、2回目から安定させるルールの書き方を紹介します。

「自分で試す時間はない。任せて早く楽になりたい」という方は、この記事を読まなくても大丈夫です。無料相談で仕訳の件数と証憑の集まり方を伺えば、その場で自動化できる範囲の見立てをお伝えします。

目次

この記事の要点

  • 証憑フォルダを読ませて一覧CSVにするまでは、プロンプト1つで終わる
  • 7枚のうち6枚で「人の判断が要る」箇所が出た。読み取り精度ではなく、ルールの問題
  • 「合計以外の数字を拾わない」「手書きは必ず要確認」のような事務所ルールを CLAUDE.md に書くと、2回目から安定する
  • 精度◯%のような数字はこの記事には出てこない。モデルが更新されれば変わるため、再現できる手順と判断基準だけを書く
  • 顧問先の実データで試す前に、必ず「データをどこに送るか」を確認する

向く人/向かない人

向く人向かない人
ChatGPTは使ったことがあり、自分の事務所の領収書で試してみたいツールの操作を一切せず、完成品だけ欲しい(→ AI仕訳るくんの資料請求へ)
記帳代行で毎月の証憑整理に時間を取られているスキャナ運用がまだ無く、証憑が紙のまま
「AIに任せて大丈夫か」を自分の目で確かめたい顧問先データの取り扱いルールが事務所内で未決

Claude Codeに領収書フォルダを読ませると、何が出てくるのか?

ファイル名・日付・支払先・金額・税区分・摘要候補・要確認理由を並べたCSVが1つ出ます。

今回使ったのは、架空のサンプル証憑7枚です。実在の店名や顧問先データは一切含みません(全画像に「SAMPLE / 架空」の刻印があります)。わざと”読みにくい”ものを混ぜました。

ファイル種類わざと仕込んだ罠
01_konbini_keigen.pngコンビニのレシート8%と10%が1枚に混在
02_taxi_tegaki.pngタクシーの領収書金額が手書き・日付が和暦
03_inshoku_point.png居酒屋のレシート(4名利用)小計と支払合計の2つがある(ポイント値引)
04_drugstore_faded.pngドラッグストア感熱紙の退色を模した薄い印字
05_saas_usd.png海外SaaSの請求USD建て
06_ic_card.png交通系ICの利用履歴1枚に6取引、物販が1件混入
07_denki_seikyusho.pdf電気料金の請求書PDF

打ったプロンプトはこれだけです。

receipts フォルダの領収書・請求書を全部読んで、日付・支払先・金額・税区分・摘要候補を一覧CSVにして。判断に迷ったものは「要確認」列に理由を書いて。

Claude Code は7ファイルを順に開き(画像は画像として、PDFはテキストと画像の両方で読みます)、次のCSVを書き出しました。

ファイル日付支払先金額要確認
01_konbini_keigen.png2026-07-14サンプルマート 東池袋店1,238
02_taxi_tegaki.png2026-07-16サンプル交通株式会社3,420
03_inshoku_point.png2026-07-18居酒屋 さんぷる屋 池袋西口店7,800
04_drugstore_faded.png2026-07-22サンプルドラッグ2,006
05_saas_usd.png2026-07-01Sample Cloud Inc.125.00 USD
06_ic_card.png2026-07-03〜24ICカード利用履歴1,143
07_denki_seikyusho.pdf2026-07-31サンプル電力株式会社31,284

7枚とも読めました。ただし7枚中6枚に「要確認」が付きました。ここがこの記事の本題です。

7枚とも読めたのに、なぜ6枚が「要確認」になったのか?

読めなかったからではなく、「どの数字を採るか」「どう分けるか」を事務所が決めていないからです。

実行ログから、人の判断が要った場面を種類別に並べます。

#何が起きたか機械に任せられる範囲先に決めておくこと
01合計以外に「小計」「お預り」「お釣り」や税率別の内訳が並び、金額らしき数字が複数ある合計の特定はできる「拾うのは合計だけ」と指示で固定する。8%/10%を分けて仕訳するかは事務所ルール
02金額が手書きで、内訳が無い。日付は和暦読める。和暦→西暦の変換もできる手書きは検算のしようがない。「手書き=常に要確認」をルールにする
03小計8,300円と支払合計7,800円の2つ。ポイント値引が500円実際の支払額を採ることはできるどちらを採るか、値引をどう処理するか。4名分を会議費にするか交際費にするかは人
04印字が薄い今回は読めた実物の退色はもっと不安定。「読めた時も検算させる」設計にする
05USD建て金額と通貨は読める円換算額はカード明細が出るまで確定できない。「外貨は金額を確定させない」
061枚に6取引。うち1件は物販行に分割できる「1ファイル=1取引」の前提が崩れる。物販を旅費交通費から外すのは人
07PDFの請求書税抜・税・合計の検算まで一致最も安定。支払期限が先なら未払金で計上する話につながる

つまり、読み取りは最初の10分で終わり、その先は「迷い方を決める」作業です。ここを決めずに顧問先の実データを流すと、そのたびにAIの判断がぶれて、確認の手間が増えます。

2回目から安定させるには、何を書けばいいのか?

事務所のルールを CLAUDE.md というファイルに書いて、フォルダに置いておくだけです。

Claude Code は作業フォルダにある CLAUDE.md を毎回読んでから動きます。ここに「迷ったときの決め方」を書いておくと、プロンプトを毎回長く書かなくて済みます。今回の7場面をそのままルールにすると、次のようになります。

# 証憑読み取りのルール(この事務所の決め方)

## 拾う数字
- 金額は「合計」「お支払合計」だけを採る。小計・お預り・お釣りは使わない
- 合計が2つある場合は、実際に支払った額(値引後)を採り、要確認にする

## 必ず要確認にするもの
- 金額が手書きのもの(検算できないため)
- 外貨建てのもの(円換算額が確定しないため)
- 1枚に複数の取引があるもの(行に分割したうえで要確認)
- 印字が薄い・欠けているもの

## 出力
- 日付は西暦 YYYY-MM-DD。和暦は変換する
- 税区分は 8% / 10% / 混在 / 不課税 のどれか
- 摘要候補は書くが、勘定科目は決めない(人が決める)

この雛形の完全版(フォルダ構成・プロンプト例・要確認の基準表つき)は記事末からダウンロードできます。

顧問先の実データで試す前に、確認すべきことは?

証憑の画像を「どこに送るのか」「学習に使われないか」を、試す前に事務所として確認してください。

Claude Code はファイルを読むときに、その内容をAnthropicのAPI(ソフト同士がデータをやり取りする窓口)へ送ります(公式のデータ使用ページに「ネットワーク経由でデータを送信します。このデータには、すべてのユーザープロンプトとモデル出力が含まれます」と記載があります)。

契約形態(個人プラン/Team/API)によってデータの取り扱いが異なるため、顧問先の証憑で試すのは、事務所の方針が決まってからにしてください。判断の手順は「顧問先データをクラウドAIに渡していいか(判断フロー)」(近日公開)にまとめます。本記事で使ったのは架空のサンプルなので、この確認は不要でした。

この先、仕訳やfreee登録まで繋げるには?

一覧CSVができたら、次は仕訳ルールを覚えさせて、会計ソフトの取込CSVを作らせる工程です。

読み取り → 仕訳 → 会計ソフト登録、の3段のうち、本記事は最初の1段です。2段目以降は「Claude Codeで証憑→仕訳CSV→freee取込まで通す(実演)」(近日公開)で扱います。そこで必ず出てくるのが「勘定科目をAIに選ばせるか」「例外をどこで止めるか」の問題で、今回の要確認6件はそのまま持ち越されます。

Claude Code をまだ入れていない方は「エンジニアでない税理士のための Claude Code の始め方」(近日公開)から始めてください。

よくある質問

ChatGPTでも同じことはできますか?

1枚ずつ貼り付けて読ませることはできます。違いは「フォルダごと渡して、CSVというファイルを書き出させる」ところで、ここはClaude Codeのようにファイル操作ができるツールでないとできません。

読み取りの精度は何%くらいですか?

この記事では精度の数字を出していません。モデルが更新されるたびに変わり、数字だけが古くなって記事全体の信用を落とすためです。代わりに「どの種類の証憑で、何を先に決めておくか」を書いています。

手書きの領収書は読めますか?

今回のサンプルでは読めました。ただし実物の手書きはもっと揺れます。読めるかどうかより、「手書きは内訳が無いので検算できない」という性質の方が重要で、常に人が原本と突き合わせる前提にしてください。

PDFとスキャン画像、どちらが良いですか?

今回の7枚ではPDFの請求書が最も安定していました(税抜・税・合計の検算が一致)。ただし画像でも十分読めます。受け取った形式のまま渡して構いません。

一覧CSVの勘定科目まで決めてもらえますか?

決めさせることはできますが、この段階では勧めません。摘要候補までに留め、科目は人が決める方が、後工程で例外処理を設計しやすくなります。

顧問先のデータで試しても大丈夫ですか?

契約形態によって扱いが違います。試す前に事務所の方針を決めてください。

料金はかかりますか?

Claude Code の利用にはAnthropicのプラン契約が必要です。事務所での契約形態と費用感は別記事(近日公開)で扱います。

まとめ

  • 領収書フォルダをClaude Codeに読ませて一覧にするのは、プロンプト1つ・10分でできる
  • 7枚中6枚に「要確認」が付いた。読めないからではなく、事務所の決め方が無いから
  • 「拾う数字」「必ず要確認にするもの」「出力形式」を CLAUDE.md に書くと、2回目から安定する
  • 精度の数字ではなく、手順と判断基準を持ち帰ってほしい

出典・補足

  • 本記事の実行ログは 2026-08-23 に Claude Code で実施。サンプル証憑7枚はすべて架空で、実在の店舗・顧問先のデータは含まない
  • Claude Code 公式ドキュメント(概要) code.claude.com/docs/ja/overview(参照 2026-08-23)
  • 国税庁「電子帳簿保存法関係」 nta.go.jp(参照 2026-08-23)
  • Claude Code データ使用 code.claude.com/docs/ja/data-usage(参照 2026-08-23)
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